味な旅・福島 その1

福島への二泊三日の旅から帰ってきた。備忘のため出来事を簡単に書きとめておく。

 

9月20日(木) 1日目

1時に上野駅集合。駅前広場で待ち合わせたが、九月も後半なのに日差しが強くて、周りのビルを眺めているうちに頭がぼんやりしてしまった。大木が拡声器(わざわざ旅行に持参してた)でなにか喚いていた気がする。寝不足で目がチカチカした。

皆のあとについて早足でホームに来てみたら、出発までけっこう時間があった。駅弁を買う。

新幹線が来たので乗車する。やまびこ63号。隣の席にロッソ。こんな時でも黙々と携帯をいじっている。早々に弁当を食い、座席のポケットにあった冊子を眺める。東京駅の改装特集。藤森照信辰野金吾の孫(ひ孫?)と対談していた。

寝てしまったらしく、気がついたら窓の外が田園風景だった。ほどなく福島駅到着。所要時間1時間半。やや曇天。そして東京より微妙に涼しい。

駅前はそれほど人が多いとは言えず、閑散としていた。県庁所在地とはいえ、平日の昼間ならこんなものだろうかなどと考えつつ、一服。建物や道路がおおむね新しめできれいなだけに、かえって寂しい感じがする。市出身の作曲家・古関裕而という人の像がある。1時間おきに「古関メロディ」のどれかが像から流れるらしい。けっきょく一度も聞く機会がなかった。

駅のすぐそばのホテルにチェックイン。フロントの女性が堂々と訛っている。言葉遣いは標準語だけどイントネーションが。本人にもその自覚があるのだろうか、それともまぎれもない標準語を話しているつもりなのか。他の地方でもそうだったかしらと思ったところで、東北に来るのが初めてだと気づいた。

この時点で午後4時くらいだったか。晩飯まで自由行動。部屋に入ってみると灰皿がない。エレベータ―ホールまで行って吸うしかないようだ。大木のばか。外をぶらついてみようかとも思ったが、部屋でごろごろしているうちにまた寝てしまった。

夜は皆で、駅からそれほど遠くない店でもつ鍋を食べた。あとギョーザ。どちらもまあまあ。吉本さんがギョーザを気に入ったらしく、いいですか、いいですか、と形だけの断りを入れながら大皿の半分くらいを平らげた。この旅で分かったことだが、ほんとよく食う娘だ。

飯のあとは駅の周辺をぶらついた。繁華街のようなところも歩いたが、道幅が広くて車がすいすい行き交うので妙な感じ。風俗のお店なんかもけっこうあるのに。こんなに見通しがよくあけっぴろげだと、お店に入るところがかなり遠くからも見えてしまいそうで心配になる。こういう店は人目を避けて行くものではないのか。それともここらじゃ、タクシーで横付けして店内にサッと消えるのが粋なのか。

宿に帰り、時間は早いがみな疲れていたので解散。夜に限って寝つかれず、かといってもう外に出る気にもならず、ずっとスマホをいじくりまわしていた。あといちおう台詞の最終確認も。福田恆存の訳文はよく読むと、たいへんクドくて覚えづらい。人称代名詞とか律儀にぜんぶ訳出してるんじゃないか。1時過ぎにようやく就寝。(2日目に続く)