仲間はずれ

昨日、稽古に行ったらロッソがいた。おとついの大木の演説(だったらしい)にも足を運んでいたそうな。「おす」と声をかけたら「はい、すみません、いろいろご迷惑をおかけして…」みたいなことをぶつぶつ言っていた。なるほど。土壇場でパーティーメンバーが勢揃いって、なんかファイナルファンタジーみたいでいいね!

大木が演説中、あのイキウネとかいう若者に卵を投げつけられたらしい。別に同情はできないというか、むしろナイス趣向というか、結局のところ類友だろう。向こうは向こうでどうやら『アンティゴネー』を自分の思い込みにまかせて改作しているようだし。こしらえものの作品と現実世界を簡単に混同してしまう人の頭のしくみがよく分からない。そりゃあ、何か月もある人物を演じ続けていたら、多少はその人となりに自分が似てくるように感じることはあるけれど。でも、あの人たちの場合は度を越しているというか、同一化の対象が外の世界にまで拡大されちゃってて、はたから見ていて危なっかしい。

戯曲を聖典か何かのように読んでしまっているということだろうか。宗教性とはまるで無縁な人間には理解できない。もちろん、あらゆるテキストはそのようなものとして読むことが可能だろう。聖典に書かれている以上、すべてを真実と受け取らざるを得ないわけだ。

しかしだとすると、俺はなんなのだろう。クレオンみたいに横暴で無慈悲な人間だと思われているということか。心外な役どころだ。でもまあいい。お前らが気分よく抵抗者・殉教者ごっこやってられるのも、権力が馬鹿な抑圧者として振る舞ってあげてるおかげだろうに。クレオンがあの布告を出さなかったら、アンティゴネーの人生はもっとみじめなものに終わっていたに違いない。権力者も大変である。ヒマ人に遊び道具まで提供しなくちゃならないんだから。

 

などと意味なく吠えている間に出発前夜である。実はちょっと楽しみ。