宙ぶらりん

アンティゴネーという人の言動を見ていると、若き柳田國男の手になる例の新体詩

 

うたて此世はをぐらきを

何しにわれはさめつらむ

いざ今一度かへらばや

うつくりかりし夢の世に

 

を思い出す。兄の弔いうんぬんはただの口実で、要はとっとと死にたいだけなんじゃないのか。

気持ちはわかります。ひじょーに。俺もうつし世におさらばして、早く帰りたいと思うことがしばしばです。

ただ、「うつくしかりし夢の世」というのは多分まやかしなんでしょう。それこそ生きている人間のための。

帰る場所などありません。残念。